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【ビジネス法務】偽装請負に関するリスクと注意点

『ビジネス法務』2022年11月号の特集は「業務委託契約の今日的課題」です。業務委託契約は幅広く用いられていて、企業の各部署で関わる可能性があります。近年の多様な働き方やコンプライアンス重視の流れから、これまでと異なるトラブルが起きることも想定されます。本特集の中から「偽装請負」に着目した記事では、近時の裁判例から読み解いたリスクと注意点について解説があります。

  • Ⅰ 偽装請負とは
  •  1 はじめに
  •  2 業務委託契約
  •  3 労働者派遣契約
  •  4 偽装請負
  • Ⅱ 偽装請負の判断基準
  •  1 37号告示(行政解釈)
  •  2 裁判例上の判断基準
  • Ⅲ 偽装請負をめぐる近時の裁判例
  •  1 東リ事件(みなし制度の初適用)
  •  2 ベルコ事件(無許可事業者とみなし制度)
  •  3 竹中工務店事件(二重請負とみなし制度)
  • Ⅳ おわりに

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

1 はじめにー(「偽装請負」とは)
偽装請負とは、形式的には、発注者及び外注先間で『業務委託契約』を締結して、外注先のみが、雇用契約を締結した従業員に対して単独で指揮命令をするものとしつつも、実態としては、発注者及び外注先双方が、外注先従業員に対して指揮命令をしている場合を指します。言い換えれば、『業務委託』という名目にすることにより、派遣元及び派遣先双方が労働者に対して指揮命令できる『労働者派遣』と同様の状況を、労働者派遣法上の種々の制約なく作出しているものともいえます。
本記事では、如何なる場合に、発注先からも外注先従業員に対する指揮命令が及んでおり、ひいては「偽装請負」と判断されるのかについて、近時の裁判例を踏まえた解説がなされています。

2 本論―(「偽装請負」の判断基準及び近時の裁判例)
厚生労働省が公表している「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(以下「37号告示」といいます。)では、①自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するものであること、②請負契約により請け負った業務を自己の業として当該契約の相手方から独立して処理するものであることという2つの基準を満たさない限り、契約書の形式では『業務委託』と定められていたとしても、実態としては『労働者派遣』に当たると規定しています。
一方、近時の裁判例の流れも、37号告示を参照する裁判例が多数を形成している状況となっています。さらに、大阪高裁令和3年11月4日判決は、発注者が自社の工場に常駐していた外注先従業員に対して指揮命令をしていたなどと認定して「偽装請負」と判断し、そのうえで、裁判例として初めて、労働者派遣法上のみなし制度(一定の場合に、発注者が外注先従業員に対して労働契約の申込みをしたとみなされる制度)を適用して、発注者と外注先従業員との間の雇用契約の成立を認める判決を下しました。この判決は、その後、最高裁の決定で確定しております。

3 おわりにー(「偽装請負」のリスク)
前記2つの基準を満たさない『業務委託契約』については、みなし制度が適用された事案の他にも、職業安定法違反として告発されたケースもあり、「偽装請負」と判断されるリスクは極めて大きいものとなっています。
契約名目の如何に関わらず、『人事派遣としての実態を有する契約』を締結していらっしゃる会社様につきましては、ぜひ一度、本記事をお読みいただき、対策を講じていただければと存じます。
今回も、お目通しをいただき、ありがとうございました。

弁護士 白石 義拓(しらいし よしひろ)

第二東京弁護士会所属。
2022年弁護士登録、同年PLAZA総合法律事務所入所。栃木県出身。

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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