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【ビジネス法務】改正法に対応する利用規約整備のポイント

『ビジネス法務』2023年11月号の特集2は「消費者契約法改正後の実務点検」です。その中に「改正法に対応する利用規約整備のポイント」(執筆:阿久津透弁護士)があります。令和4年改正消費者契約法で追加された条項にも触れつつ、利用規約の作成担当者が注意すべきポイントが解説されています。

  • Ⅰ 利用規約と消費者契約法
  • Ⅱ 記載例から読み説く不当条項規制
  •  1免責条項
  •  2解除権に関する条項
  •  3違約金条項
  •  4極端な権利制限条項
  • Ⅲ 未成年者によるサービス利用
  • Ⅳ 最後に

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

1 はじめに

本稿では、事業者が大量の取引を迅速かつ安定的に行うため、意図的に事業者有利に作成していることが多い『利用規約』について、事業者に向けた留意点が解説されています。

2 利用者に過度に有利に作成することの限界

利用規約を作成するのは事業者自身であるため、「当社は、本サービスの提供に関して、一切の損害賠償責任を負いません。」などといった、事業者優位の利用規約を見かけることは少なくありません。
もっとも、消費者契約法では、事業者の無制限免責条項や消費者の利益を一方的に害する条項は無効とすると定められており、行き過ぎた利用規約の作成は、有事の際に無効と判断され、事業者にとっても不測の事態となりかねません。

3 無効となる具体例

①「当社の責めに帰すべき事由がある場合であっても、当社は本サービスに関し、一切の責任を負いません。」(無制限免責条項として、消費者契約法8条1項1号・3号に違反)

②「いかなる理由があっても、事業者の損害賠償責任は、10万円を限度とします。」(事業者に故意又は重過失ある場合でも損害賠償責任を制限している点で、消費者契約法8条1項2号・4号に違反)

③「当社は、本サービスに関し、一切の賠償責任を負いません。ただし、当社の調査により当社に過失があると認めた場合には、当社は一定の保証をするものとします。」(過失の有無を事業者の判断に委ねている点で、消費者契約法8条1項1号・3号に違反)

4 おわりに

今回もお目通しいただき、ありがとうございました。
自社の事業を優位に進めていくために利用規約を事業者優位に作成した場合であっても、行き過ぎた利用規約は、上記のように、消費者契約法に違反して無効とされてしまうリスクがあります。
読者の皆様において、本稿が利用規約を整備する一助となれば幸いです。

弁護士 白石 義拓(しらいし よしひろ)

第二東京弁護士会所属。
2022年弁護士登録、同年PLAZA総合法律事務所入所。栃木県出身。

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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