『ビジネス法務』2024年5月号の特集2は「2023重要判例まとめ・後編」です。その中に「著作権法/新聞記事の社内イントラでの共有について損害賠償が認められた例」(執筆:日野英一郎弁護士)として、事案の概要と判決要旨、その解説があります。
- Ⅰ 事案の概要
- Ⅱ 判決要旨
- 1結論
- 2イントラネットへのアップロード行為の認定
- 3損害額の認定
- Ⅲ 解説
- 1アップロード行為の事実認定
- 2損害額の認定
- 3本判決をふまえた実務上の留意点
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
1 はじめに─本件の争点
本件では、X社が会社内でのイントラネット(会社内のオンライン掲示板)に800件以上もの新聞記事を10年以上に渡ってアップロードしていた行為が、新聞会社の著作権を侵害するものであるとして、新聞会社からX社に対して、損害賠償請求訴訟が提起されました(元執筆者:日野英一郎弁護士)。
2 裁判所の判断
裁判所は、例え社内での新聞記事の共有であったとしても、500前後の社員アカウントが登録されていたイントラネットへの新聞記事の投稿は、新聞会社の著作権(複製権、公衆送信権)を侵害したものと言えると判断しました。
そして、損害については、1記事あたり5000円と認定し、829件の新聞記事の投稿が確認された本件では、総額459万5000円(弁護士費用を含む。)の損害賠償請求が認容されました。
3 おわりに
今回もお目通しをいただき、ありがとうございました。
社内イントラネットへの新聞記事の共有が著作権侵害になるか否かについては、当該イントラネットへアクセスできる人数も重要な考慮要素になります。
したがって、社内2、3人がアクセスできるイントラネットへの新聞記事の投稿が、直ちに著作権侵害を構成することになるものではないと考えますが、会社規模が大きくなるに伴い、社内限りでのイントラネットであっても、管理は必要になってきます。
弁護士 白石 義拓(しらいし よしひろ)
第二東京弁護士会所属。
2022年弁護士登録、同年PLAZA総合法律事務所入所。栃木県出身。
協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)