弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

第7回目は、事業場外みなし労働時間制度①です。

事業場外みなし労働時間制度は、労働基準法38条の2に規定があり、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合で、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難なときに、あらかじめ定めておいた労働時間を労働したものとみなす制度です。
要件は、
①労働者が労働時間の全部または一部について事業場の外で労働に従事したこと
②使用者が労働時間を算定し難いこと
になります。

例えば、営業社員が会社に寄らず取引先を訪問し、そのまま帰宅する場合、上記①の要件は満たしていることになります。②の使用者が労働時間を算定し難いこととは、事業場外で働く労働者の労働時間を管理する者がいないため、会社で具体的な労働時間をについて、把握できないということです。したがって例えば、外回りをしている営業社員が、グループで行動していて、そのグループ内に労働時間の管理をする者がおり、労働時間数を把握することが可能な場合には、労働時間を算定し難いこという要件には該当せず、②の要件は満たしていないことになります。

行政通達(昭63.1.1基発1号)では、次の3つが適用とならない場合(労働時間算定が困難ではない場合)の基準として示されています。
1.何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
2.無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら事業場外で労働している場合
3.事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後、事業場に戻る場合

次回は、「事業場外みなし労働時間制度②」です!

社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)

2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。

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