第53回目は、ハラスメント⑪~マタニティハラスメント~です。
マタニティハラスメントとは、妊娠・出産、育児休業等を理由として解雇、不利益な異動、減給、降格等の不利益な取扱いや、妊娠や出産に関する嫌がらせ行為をすることを指します。職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントは、事業主に防止措置を講じる義務があることから、事業主はこれらのハラスメントに適切に対応する雇用管理上の責任があります。
「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」には、大きく分けて「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」があります。
一つ目の、「制度等の利用への嫌がらせ型」についてです。制度または措置の利用に関する言動により就業環境が害されるものをいい、具体的な制度は次のものになります。
男女雇用機会均等法が対象とする制度または措置
①産前休業、②母性健康管理措置、③軽易な業務への転換、④変形労働時間制での法定労働時間を超える労働時間の制限、時間外労働及び休日労働の制限並びに深夜業の制限、⑤育児時間、⑥坑内業務の就業制限及び危険有害業務の就業制限
育児・介護休業法が対象とする制度または措置
①育児休業、②介護休業、③子の看護休暇、④介護休暇、⑤所定外労働の制限、⑥時間外労働の制限、⑦深夜業の制限、⑧育児のための所定労働時間の短縮措置、⑨始業時刻変更等の措置、⑩介護のための所定労働時間の短縮等の措置。(ちなみに、⑧~⑩は就業規則で措置が講じられていることが必要になります)
これらの制度や措置を利用することで、解雇その他不利益な取扱いをすること、それを示唆すること、嫌がらせをすることが、「制度等の利用への嫌がらせ型」になります。
次回テーマは、「ハラスメント⑫~マタニティハラスメント~」です!
社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)
2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。