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【ビジネス法務】ハラスメント禁止・防止規定

『ビジネス法務』2024年3月号の特集は「社内規定見落としポイント総点検」です。その中に「ハラスメント禁止・防止規定」(執筆:東志穂弁護士、宮島朝子弁護士)があります。近時、さまざまなハラスメントが問題となっている状況下、フリーランス新法など最新の法令や裁判例などの動向を踏まえ、社内規定の整備が必要となっています。本稿では、このような状況・動向をふまえた社内規定例が示されています。

  • Ⅰ ハラスメントに関する規定の見直しの必要性
  • Ⅱ 規定例
  •  1就業規則に服務規程として定める例
  •  2就業規則に懲戒事由として定める例
  •  3詳細について別規定を設ける例

<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

1 はじめに

本稿では、ハラスメントに関する規程の整備が必要となっている昨今において、近似の状況・動向を踏まえた社内規程の具体例を提示しています。

2 ハラスメントに関する規程の見直しの必要性

セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)やマタニティ・ハラスメント(マタハラ)については男女雇用機会均等法、ケアハラスメント(ケアハラ)については育児・介護休業法、パワーハラスメント(パワハラ)については労働施策総合推進法により事業主の雇用管理上講ずべき措置義務が定められており、同措置義務の履行として社内規程の整備が求められています。

上記の各ハラスメントについては、その防止のため、事業主や労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払う義務があるとされており、「他の労働者」には、取引先等の他の事業主が雇用する労働者や求職者も含まれていることからも、カスタマーハラスメント(カスハラ)や就活ハラスメント(就ハラ)の防止を意識する必要があります。

また、性的指向や性自認に関する嫌がらせ等を意味するSOGIハラスメント(SOGIハラ)についても、令和5年6月に成立したLGBT理解増進法では、事業主に、その雇用する労働者に対し、性的指向およびジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるための情報提供、研修の実施、就業環境に関する相談体制の整備等の必要な措置を講ずる努力義務を設けており、その点も意識して規程の見直しを行うべきとされています。

さらに、令和5年4月28日に成立したフリーランス新法は、フリーランスのうち特定受託業務従事者に当たる者に対するセクハラやマタハラ、パワハラについて発注事業者に措置義務がある旨を明定しました。当該措置義務の具体的な内容は今後明らかになる予定ですが、社内規程にフリーランスに対するハラスメント禁止も盛り込むことを検討するのが望ましいでしょう。

3 規程例

上記を踏まえた規程例として、①就業規則に服務規律として定める例、②就業規則に懲戒事由として定める例、③詳細について別規程を設ける例が挙げられます。
以下では、①の例についてパワハラとセクハラに限定した規程例を紹介いたします。

4 ①就業規則に服務規律として定める例 

(服務規律)
第〇条 従業員は、常に次の事項を守り、職務に精励しなければならない。

(パワーハラスメント)
第〇条 従業員は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、他の従業員に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害したりするようなことをしてはならない。

(セクシュアル・ハラスメントの禁止)
第〇条 従業員は、職場において行われる性的な言動に対する従業員の対応により当該従業員に対してその労働条件につき不利益を与えること、または職場において行われる性的な言動により従業員の就業環境を害するようなことを含め、相手方の意に反する性的な言動をしてはならない。また、相手の性的指向又は性自認の状況にかかわらないほか、異性に対する言動だけでなく、同性に対する言動も該当する。

5 おわりに

今回もお目通しいただき、ありがとうございました。
各ハラスメントに関して事業主の雇用管理上の措置義務が課されている状況において、フリーランス新法等の最新の法令や裁判例などに目を向けながら、社内規定を整備する必要性が高まっています。
読者の皆様におかれましても、就業規則等の規定を点検する必要性があるのかどうか、どのように規程を定めていけばいいのかについてご検討いただくきっかけとなれれば幸いです。

弁護士 武藤 雅之(むとう まさゆき)

第二東京弁護士会所属。
2023年弁護士登録。2024年PLAZA総合法律事務所入所。神奈川県出身。

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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